
NPO法人 TBIリハビリテーションセンター
訳 者:松岡 恵子、藤田久美子、藤井 正子
発行所:株式会社 新興医学出版社
少し難しいですが、、、
タイトルに惹かれて読み通してみましたが、「リハビリテーション専門家のための・・・・・・」と書かれているだけに素人にはとても難しいものでした。ただ章立てが「注意障害」「記憶障害」「遂行機能障害」「視覚-空間認知障害」「言語障害」の障害ごとの査定と、リハビリテーションについて記載されており、重点的な課題に対する研究には役立つと思います。
個人的に関心に高い「遂行機能障害」についてまとめてみました。
(下記をご参照ください)
また、最終章は米国における神経心理学的障害についての社会資源が記載されている点については参考になりました。
「遂行機能障害」について、まとめると・・・
1.一般的方策
遂行機能障害には「記憶障害」「注意障害」「視覚空間的能力障害」に使われる比較的簡単な代償方策はありません。医学、心理・認知、家族・環境など複合的に、長期間継続してたてられるもの。
一般的方策
- 行動改善のための反復訓練(訓練すれば上達する)
- 課題は、基礎から少しづつ複雑なものへと段階的に進める
- 障害を補うために、保たれている技能や機能を最大限に使う
- 新しいこと、時間や成果に関するストレス、疲労などの調整
- できるだけ毎日の活動を規則正しくする
- 自分のペースで活動し、忙しく感じないように十分な時間をとる
- できる範囲以上のことを無理してやらない
2.特異的方策
(1)始動の障害を改善するための方策(薬物療法以外のものを掲載)
- 行動の引き金になるような、外部環境からの手がかりを使う
- 例1)アラーム、視覚的サイン、カレンダーへの書き込みなど→反応の確率アップ
- 例2)言葉でほめる、触れる、抱擁→望ましい行動の発生頻度が増す
- 行動の始動をよくするため、他の行動と組み合わせて切り返す
(2)終了の障害を改善するための方策(薬物療法以外のものを掲載)
- 不快な言動の直後に注意し改善を促す
(3)自己制御の障害を改善するための方策
- 問題を系統的・論理的に解決できない場合、PDSA(Plan-Do-Study-Act)周期のような記憶術で訓練
- 長所と限界が表れる課題をゆっくり行う→脳障害の自覚を促す