非常に興味深いタイトルに思わず購入しました。
(編著者 アトリエインカーブ;発行者 今中博之;発行所 社会福祉法人素王会 ビブリオインカーブ)
そして内容の面白さから一気に読み終えました。
著者である今中博之さんが運営されている「アトリエ インカーブ」の事例をもとに社会福祉の市場性について書かれています。
「従来の社会福祉の事業者は、「共感的消費者」にアプローチしてきました。ただ、その範囲はとても狭く、見慣れた仲間うちに限られています。共感的消費者だけに依存し続ければ、マーケットは永遠に広がることはないでしょう。これが社会福祉の市場化の限界点です」
と今中さんは著書の中で語っています。
そして、「アトリエ インカーブ」では作ることの好きな障害のある人を「アーティスト」として契約し、彼らの主張を作品を通じてマネジメントする仕組みができています。年に何回かは世界各国の「アートフェア」に出品し、一部の作品は高額な販売実績を示しているといいます。
よく言われる「自立」とは決して制度に頼るだけではない。当事者の創作意欲をマネジメントし、つながりをつくることに市場としての可能性を見出すことができると感じました。個人的に強く共感します。
一見相反する「社会福祉と市場」から、新しい社会福祉の方向性を示唆してくれる名著であると思いました。