高次脳機能障害を考える
サークルエコー
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会報第4号(2001年1月号)
厚生省から回答をいただきました
*サークルEchoでは、次の4項目の要望を厚生省に回答を求めました。

@介護を必要とする高次脳機能障害者に対応できる障害手帳を交付してください。
 身体障害を伴わない者に対して精神障害者手帳では介護への対応ができません。

A高次脳機能障害者の通所施設、グループホームの設立を国レベルで支援してください。特に重度の者の団体は少数でも地域に点在しており、地域の支援を受けられません。

B家庭での介護を支援して下さい。高次脳機能障害者は、複雑な支援を必要としているため、家族 に代わる人が得にくく家族だけで二十四時間介護を担っているケースがほとんどです。

C公的{設のショートステイ・ディケアを受けられるように、また、民間施設利用の場合には費用を 助成してください。

 *[高次脳機能障害者への支援制度充実への要望(回答)] 全文*
                           厚生省障害保健福祉企画課 2000・11・9

 いわゆる高次脳機能障害については、診断技術、リハビリプログラムが確立されていないこと等により、社会復帰対策の受け皿も不十分になっている。このため、平成13年度予算において、高次脳機能障害モデル事業費を要求し、国立身体障害者リハビリテーションセンターを中心に地域の拠点病院の協力により症例を集積し、その臨床データや社会復帰支援の経験を踏まえ、診断技術、リハビリプログラムの標準化及び社会復帰施{設における高次脳機能障害者をうけいれる体制作り、地域での支援システムなどについて検討を行うこととしている。このモデル事業の成果を踏まえ、高次脳障害者の支援について、御要望の項目についても反映させていきたい。御要望に関して、現時点で行っている施策は下記のとおり。
@頭部外傷の後遺症により、痴呆等の症状があり、日常生活、社会生活に支障のある者については、その程度により、精神障害者保険手帳の交付対象としている。また、肢体不自由があれば、、身体障害手帳の交付対象となる。

A高次脳機能障害の支援については、現在、国立身体障害者リハビリテーションセンター等において、その社会復帰に向けた取り組みがなされているところであるが、今後その充実をはかるため、上記のモデル事業を予定している。
  一方、地域の受け皿となる社会復帰施{設等については、疾病毎に区分して整備することは、現状では困難であることから、幅広く精神障害者全体を対象とした施設として普及を図っているところである。
  国としては「通所授産施設等」の社会復帰施設については施設・設備整備費及び運営費、グループホームについては、運営費の国庫補助を行い、その普及をはかっているところである。なお、厚生科学研究において、既存の精神障害者施{策に追加すべき高次脳機能障害への対応等について、さらに研究を深めることとしている。

B平成11年の精神保健福祉法の改正により、精神障害者居宅生活支援事業を法定化し、平成14年度より市町村を主体として、ホームヘルプを中心に在宅福祉サービスを提供することとしている。なお、平成14年度からの本格タ{に向け、平成11年度からホームヘルプサービス試行的事業を実施しているところである。

Cデイケアについては、障害者プランの平成14年度の目標1000施設の整備(現在815ヶ所)に向けて整備しているところであり、その費用についても精神障害者通院医療費公費負担制度により援助している。また、精神障害者のショートステイ事業については、Bの一環として平成14・FONT size=4>N度から実施する予定としている。
U君の事件について
 2号会報で、三人のEchoの若者に対する思いを寄せてくれた『あゆたか』Fさんのもとで「歩こう会”ずんずん”」を主宰し、遠く離れていても私たちに希望を与えてくれたKさんが息子である18歳の知的障害をもつU君と入水自殺を図りました。U君は命を奪われ、Kさんは死にきれず、現在公判中です。新聞は、障害をもつU君の家庭内暴力と将来を゚観してという内容でした。

 障害者を持つ親にとって、暗く重たい出来事でした。Fさんから送られてくる「あゆたか通信」に載っているKさんの姿は、私にとって嬉しいものでした。U君の障害とともに、日々前向きに歩いている姿に励まされました。

 私たちEchoのメンバーは、ある日突然、なんの前触れもなく嵐のような奇禍に襲われました。なすすべもなく、厳しい現実と直面することとなりました。全員、一度は死の淵に向かいあい、我が子の命の重さを感じながらも、戸惑い、絶望し、障害を認めることの辛さ等など、光を感じることもできない長く辛い日々が続きました。

 Kさんが、今後背負って生きてゆかねばならない命の重さは、我々も同じ思いです。目をむけ、声をかけ、ともに歩いて下さる方と出会ったことは、私たちにとって改めて我が子の命の重さと向き合う力になっております。生きてゆかねばと思います。

はじめてのスキューバダイビング、そして
「お姉ちゃんが溺れたとダイビング会社から連絡があったの。すぐに病院へ電話して!」
下の娘からの電話に耳を疑いながら胸騒ぎを覚え、電話をかけたのは3年前の8月2日午後5時半頃。「自発呼吸はしています。意識はありません。急いで病院へ来て下さい。」
現地へと向かった娘を最寄の駅まで見送ったのは今朝のこと。一泊二日の講習を受け、明日はいつも通りの、元気な顔を見せてくれるはずの娘の身に一体何が?聞き慣れない言葉に、娘がどんな様子でいるか想像することもできません。顔を見るまでの数時間は生きた心地がせず、「神様、どうか娘の命だけは助けてください。お願いです。」主人と二人手を握り合い祈り続けました。病院に駆けつけると、ベッドに横たわるゆう子は、意識不明の重体で、死と紙一重のところにいました。声をかけても反応せず、目には軟膏を塗ったガーゼが載せられ、口には舌根沈下が起きないよう、菅をくわえ、そこにチューブが通してありました。当時評価され始めた低体温療法を施され、氷で頭のまわりとリンパ節の部位が冷やされていました。そして、後で解ったことですが、家に連絡が入る数時間前こそが、ゆう子の生きるか死ぬかの瀬戸際だったのです。

 助けてくださったA氏の話・・・8月2日は第一土曜日とあって、海は賑わっていた。その時海から救助を求める男の叫び声。すぐさま数名のインストラクターと思える人達が、フィンとマスクをつけ海へ向かう。娘は浜にあげられた。呼吸なし。脈なし。身体蒼白。帰り支度をしてその場を通りかかった、救命の専門家でインストラクタートレーナーのA氏が見かねて心肺蘇生を買ってでる。まわりの人達も必死に協力する。「絶対にあきらめないぞ!」と心に決め心肺蘇生を続けていた。呼吸停止の人に使う蘇生器がやっと届いたところで、使い方を知っている人がいないか周囲の人に呼びかけると、一人の男性が進み出た。ダイビングに来ていて、たまたま居合わせたドクターだった。手際良くマスクをセットする。人工呼吸が陽圧酸素に切り替えられた。心マッサージを中止して結構です。」と言った。間もなく高速船が着いた。二人に任せて安心と判断した救急隊が、最短の時間で市内の救急病院へ搬送する為、レスキュー艇を手配していたのだ。

 万一に備えての救命器具が満足に備えられていなかった時、事故が起きてしまいました。しかし、最悪の環境の中で、あの日、あの時、あの場所に、偶然居合わせた人々が、互いに協力し合いながら、持てる力を出し切った結果、奇跡を起したのです。関わって下さった多くの方々に何とお礼を申し上げて良いやら、言葉では言い尽くせません。
 ゆう子は皆様のお陰で、今までゆっくり、順調に回復してきましたが、今年の夏頃から変化が現れてきました。感情のコントロールが出来にくくなったのです。どう対処したらよいのでしょうか? 私が行き詰まりそうになっていた時、息子が新聞に高次脳機能障害の記事を見つけ、サークルEchoを知りました。個性を尊重しながら、明るい雰囲気のご家族とボランティアの方々は、私に爽やかな風を吹き込んで下さいました。皆様とご一緒させて頂き少しでも子供達が回復し、彼等の住み易い環境が作れたらと願っています。
(多くのドクター、看護婦さん、教授の皆様、力になって下さった皆々様、そしてゆう子の祖母、本当にありがとうございます。)
伊地山 敏

無年金障害者合同審理
 学生無年金障害者38名の合同審理が9月19日 当事者陳述、11月28日 弁護士・学者・陳述、という形で厚生省にて行われました。

 障害年金は20歳未満で障害者になった場合は支給を受けることが出来ます。20歳の誕生日を境に、極端な壁が生じています。今現在でも無年金障害者は発生しています。平成12年3月の年金改正法に、無年金障害者救済策は盛り込まれていません。所得保証もなく、障害と向き合い、どのように生きろというのでしょうか。社会保障制度の狭間に二重に落ちてしまった無年金障害者の救済を一刻も早く、個々のケースにおいて検討してほしいと思います。